【やってみた】米国株がスピンオフ(分社化)!って、何があるの? どうしたらいいの?
保有している米国株がスピンオフ(分社化)とかいうのになりました。
これは保有株の中でも割と珍しいことのようで、いろいろと調べたのですがいまいちコレといって参考になる記事や文章が見つからず。
ということで、この文章は『保有している米国株がスピンオフ(分社化)するみたいだけど、どうしたらいいの? 何があるの?』と思った私のための、個人的な体験談です。
※この記事、だいぶ長くなりましたので、ゆっくりお読みくださいm(_ _)m
スピンオフに関するデータ:銘柄はAT&T(T)
まず、詳細なデータについて。
- 銘柄:AT&T(T)
- 分社化する銘柄:ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(WBD)
- 割合:AT&T1株あたり0.24株
※その後の報道で0.241917株とのこと
今回は、AT&Tのメディア部門と、ディスカバリーの統合ということで、AT&Tの株を持っている人が分社化したワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー社の株をもらえる、ということのよう。
免責:当記事に関する注意点
(あくまで当記事は1例として考えてください!という話)
あくまでも今回の記事は『今回体験した米国株の分社化は、こういう流れで、こういうスケジュールで、こういう事が起こった』というひとつの体験談に過ぎません。
このため、以下の点をご了承の上、お読みいただければと思います。
- 詳細はそれぞれの銘柄・ケースごとに違いますので、詳細はそれぞれの銘柄ごとの報道やIRなどを確認ください。
- あくまで、当記事は米国株のスピンオフに関して、個人株主の参考程度にお読みください。
- 当記事内で対処法などを書いている下りもありますが、必ずしもその方法が正しいというわけではありません。
- 当記事内で『スピンオフ』という単語と『分社化』という単語が混在しますが、特に意識して使い分けをしているわけではありません。
- 原則、当記事内で日時が出てくる場合は、日本時間となります。
- 取引に関して、最終的な判断はご自身の判断でなさってください。
- 不明点は証券会社などに問い合わせてください。
- 当記事・当ブログを読んだことによって起こった損害などは一切補償しません。
要は「珍しいことが起きたので体験談書いてみました。ただ、ケースバイケースっぽいので、参考程度にお読みください。なお、もしこの記事を読んであなたにトラブルや損害が起きても責任取りません」ってことです(;´Д`)
時系列:いつ何が起こったか? 分社化のスケジュールとは?
まず、スケジュールについて。
日付 | 出来事 |
---|---|
02/01 | スピンオフの発表 |
04/07 | 証券会社より、スピンオフに関するスケジュールの公表 |
04/08 | AT&T、権利付き最終売買日 |
4/9~4/11 | AT&T、取引停止 |
04/11 | AT&T、米国市場権利落ち日 |
04/11 | AT&T、証券会社の米国口座内移管(特定口座→一般口座)を確認 |
04/13 | 証券会社の米国株口座に、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの株が入庫 |
04/19 | 1株未満の金額の現金付与 |
一応お伝えしておきますと、証券会社ごとにスケジュールは違うようです。
私は楽天証券を利用していますが、すべてが一気に済む証券会社もあれば、ひとつひとつ日を改める証券会社もありました。
個人的には「サクッと進むことが多い米国株の中で、割とゆっくり進んでったなぁ」という感想を抱きました。
時系列順の出来事や、やったこと
それでは、やったことでも紹介しますか。
今回はスケジュールの他、私がやったことや起こった出来事なども併記します。
02/02:AT&T、スピンオフを発表する
この日、AT&Tがスピンオフを発表しました。
ロイター通信:米AT&T、ワーナーメディア分社化 ディスカバリーと統合へ
初めてのことにドキドキです☆
02/02-02/04:私、ググりまくる&証券会社に問い合わせ
スピンオフってなんだろー? と思ったので、一応ググってみましたが、いまいちコレという記事や対応に関する記事はなく。
また、楽天証券の問い合わせチャットで問い合わせたのですが「まだこの段階では報道以上の情報はありません。追加の報道などをお待ち下さい」とのこと。
とりあえず、報道以外の詳細を証券会社も知らないようでした。早かったのかな。
2月~3月:ほぼ続報なし。ただ配当金の動きはあり
その後、2月から3月まではやきもきしていたのですが、いまいちコレという情報もなければ、続報もほとんどなく、どうなってるかなとたまに思い出す程度でした。
この間、AT&Tやワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー社に関する推測・見通し・憶測の記事はありましたが、スピンオフに関する報道はほとんど見かけませんでした。
配当金については淡々と行われ、値動きもある
なお、2月にAT&Tの配当金が入りました。また、3月26日に次の配当金についての発表もありました。配当金は普通に支給され、また配当金関係のニュースや報道、IRは普段どおり。
株の値動きに関しては、株価は大きく下がりました。
というのも、スピンオフに伴って配当金が減らされたので、利回りが下がってしまいました。それが嫌気されたようです。株価も回復しないし。
4月:ほぼ続報なし
4月に入りましたが、未だに動きはありませんでした。半分くらい忘れかけてました。
4月7日:いきなりスピンオフの発表
4月7日になり、いきなりスピンオフに関する発表がありました。
今回は楽天証券からお知らせが着て、スピンオフに関するコーポレートアクションの詳細と、スケジュール、注意項目などが明記されていました。
未定なこともいくつか
ただし、この段階でも未定なことがあり。
1株未満のときの現金付与があります、とはあるものの、入金日は未定でした。また、いくら入るのか、いつのタイミングでの売買となるのか、というのもよく分からないままでした。
4月8日:楽天証券より『AT&T、一般口座に払い出されます』ってメール
4月8日、楽天証券より『外国株式で払い出しが行われる銘柄があります』とのメール。
これは『銘柄情報通知サービス』というもので、保有銘柄に関して何らかの動きがあった場合、楽天証券からメールが届くというものです。
払出日や詳細なことは書かれていました。
ちなみにメールが来たのは4月8日の朝。なので、この段階ではまだAT&Tは特定口座にあります。
4月8日:AT&T、権利付き最終売買日を迎える。ということで買い足し。
そして4月8日、AT&Tが権利付き最終売買日を迎えました。
これは何かというと、その日に株を保有していると権利が発生するという日付です。日本株も優待や配当を貰うために保有してなきゃいけない権利付き最終売買日がありますよね。それと全く同じです。
ちなみに権利獲得は4月9日の午前5時。アメリカ市場で言えば、8日のアメリカのマーケットが終わるまでです。
私はもう少し買い足したほうがいいかなと思ったので、買い足し。
これがスピンオフ前の最後の売買チャンスとなりました。
4月9日:AT&T、売買停止
4月9日になり、AT&Tが売買停止に入りました。
この日から週末になり、週末の間はずーっと売買ができませんでした。注文も受け付けておらず、注文を出そうとしたらエラーが出ました。
なお、この段階ではまだ特定口座にあり、見た目は変化がありません。
4月11日:AT&T、払い出しと権利落ち。株が一般口座に払い出される、プラマイがおかしい!
4月11日、この日、スピンオフする銘柄は特定口座から一般口座に払い出されます。
スピンオフした銘柄は一般口座に払い出しされ、取得価格はゼロに
このとき何が面倒かって、払い出されると取得価格がゼロという表示になります。
仮に、私がAT&Tの株を25ドルで買って、それから特定口座から一般口座に払い出されたとしましょう。
その場合、一般口座での取得価格は0ドルという表示になり、損益には+25ドルと表示されます。実際は25ドルで買ったあとに値下がりして、払い出しのタイミングで株価が20ドル、損益は-5ドルとしても、取得価格はゼロという表示。
どんなに大きな含み損があっても、払い出されれば含み益がある状態になってしまいます。
4月11日:AT&T、取引再開。株価が下がったけれど上がってる!
4月11日はまたもう一つ動きがあって。
AT&Tが取引再開となりました。
この段階では株価は下がっている
この場合、実はAT&Tの株価は下がっちゃってます。
理由は簡単で、スピンオフする銘柄はスピンオフした分だけ価値が下がるとされています。なので、再開時は株価も下がります。
今回、AT&Tは1株あたり0.24株分の価値をワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーにスピンオフしたわけですから、24%ほど株価が下がるわけです。売る前は26ドル程度だったのが19ドル程度に下がってしまっているので、まあそのくらいは下がってるよねって感じでしょうか。
ただ、スピンオフをした場合はスピンオフ先の株も保有できますから、理論上は実質的な価値は変わらないとされています。
今回のケースで言えば、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの株を同時に保有できるので、理論上はプラマイゼロ。
理論上は同じでも、マーケットでの値動きは違う場合が多い
……とはいえ、そう簡単な話でもなく、実際は様々な要因で上がったり下がったりします。
上場したてならではの激しい値動きがあるので、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの元気な値上がりを目にして先が楽しみになったり。
ちなみに、この段階ではまだワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー社の株は口座に入っておらず、手元にはありません。
4月13日:保有銘柄一覧に『ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー』が入る!
4月13日の早朝、米国保有株一覧を見たら、最後に『ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー』の文字が。
ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの株が入ってきました。
今回、AT&Tの株を20株保有していたので、入ってきたのは4株です。また、一般口座への入庫でした。
4月19日:整数未満株の割当が入金される
4月19日になり、整数未満株の割当が入金されました。
整数未満株の株、と言うのは単純で、スピンオフが起こると、1株未満の株が発生する場合があります。
つまり0.■株というのが発生したのですね。小数点以下の株で、これは証券会社によっても扱いが違います。
楽天証券の場合、この整数未満の株は市場で売って、その売ったお金は現金で口座に入金しますという通知が事前に来てました。現金というのは現地通貨、つまり米ドルでの入金となります。
今回はAT&Tの株を20株持ってました。ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー社の株が4.8株ほどもらえるのですが、この端数となっている0.8株をマーケットで売ったようで、20.43ドルが入金されました。
スピンオフに関する注意点
以下、スピンオフを体験してみて、個人的に感じた注意点です。
証券会社ごとに対処法は違う! 株の交付をするところもあれば、売却するところも
まず、調べていたときに知ったのですが、証券会社ごとに米国株スピンオフの対処法って違うんですね。
楽天証券の場合はそのままスピンオフした会社の株を交付してもらえました。
ですが、PayPay証券の場合は全部売って売却益を入金する? ようです。(PayPay証券:【重要】AT&T(T)株式の売買停止およびスピンオフに伴う交付株式の売却による金銭交付のお知らせ)
なので、証券会社ごとの対処法を調べておいたほうがいいでしょう。
スピンオフでは1株未満が発生することも。対処法も違うみたい
スピンオフをした場合、割合によっては1株未満の株も発生します。こういう1株未満の端数に関してもまた、証券会社ごとに対処が違うようです。
楽天証券の場合は端数未満を買い上げて、その金額を入金するという形でした。現地通貨、つまり米ドルで入ります。
ただ、事前の発表の段階では、その金額やタイミングなどもよくわからなかったです。正直なところ入金されるまで、やきもきしてしまいました。
スピンオフでは一般口座に入る
スピンオフをした場合、特定口座から一般口座に払い出されて、その後で手続きとなります。
このため、特定口座から一般口座に銘柄が移動し、特定口座のメリットとなる『源泉徴収あり』『確定申告不要』などのメリットが使えません。
このため、若干面倒です。
証券会社・スピンオフごとに対応は違うみたい?
これも証券会社ごとに違うようで、マネックス証券の場合は、スピンオフする銘柄を特定口座から一般口座に移動されるということはないようです。マネックス証券:コーポレートアクション ※ページ内部にスピンオフに対する解説と、マネックス証券のスピンオフに関する対応への記述あり
また、ケースバイケースという場合もあるようで。
なんだかよくわからなくてモヤモヤしてしまうのですが。
スピンオフによって、一般口座に入る場合もあれば特定口座のままのときもあるみたいです。
なぁーんかなぁー。
NISA口座の場合はNISA口座のまま、みたい
ちなみにNISA口座でスピンオフする銘柄(今回はAT&T)を持っていた場合、NISA口座のままのようですね。(NISAでは保有してないから分かりませんが)
ただし、スピンオフされた銘柄(今回はワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー)は一般口座に入るようです。
スピンオフでやっておくべきこと
それでは、体験してみてわかった、やっておくべきことです。
スピンオフ前の情報を残す
スピンオフをした場合、特定口座から一般口座に払い出されて、取得金額がゼロになってしまいます。
これでは困ったことになるので、私は事前にスピンオフ前の株価・取得金額・損益などを残していました。
私はiSPEEDの情報を画面キャプチャして画像データ化し、そのまま持っています。取得単価や含み損の金額などがリセットされてしまうのは嫌でしたので、それを防ぐためでもあります。
スピンオフ時に取得価格がわからなくなるため
これがなぜ重要なのかというと、スピンオフ後に銘柄や米国株全体の損益がわかりにくくなってしまうので、それを防ぐためでもあります。
プラ転したら売ると思っている銘柄の場合、今の株は平均取得価格からしてプラスなのかマイナスなのか、判断が付きづらくなるのですね。
また、値動きも分かりづらくなってしまいます。相対的に上がっているのか下がっているのか、が分かりづらくなってしまいます。
そして、保有している米株全体の損益計算にも影響を与えます。取得価格がゼロで計算されるので、実際の含み益より大きな含み益があるように見えてしまう。
これは証券会社さんもなんとかしてくれないかなぁ。
定期的にニュースをチェック
次に、定期的にニュースをチェックしておきましょう。
だいたい保有株のニュースはチェックしているでしょうが、スピンオフの場合はあるタイミングでいきなりすすんだり、ずーっと止まったまんまということもあります。
おそらくスピンオフによって進行速度やスケジュール、マーケットの反応は違うでしょうから、そういうことをチェックしておいたほうがいいです。
早く逃げるためにも、情報源は確認しておくのに越したことはありませんね。
対処を考える
最後に、対処を考えておきましょう。
ここまでの文章を読んで「めんどくさそうだから即売ろう」とか「成長しそうだから保有する」とか、そういうことです。
個人的には「AT&Tは高配当銘柄だし、スピンオフしたとしてもそれなりに成長するだろうし、保有しておこうヽ(=´▽`=)ノ塩漬けだし」と思ったので、売るつもりはありませんでした。
あと「スピンオフってどんなもんじゃろ」と思ったのもあります。
で、方針を決めたらそれをやるまでです。ガチホでも、買い足しでも、売るのでも、どれでも。
スピンオフでやってもムダだったこと
逆に徒労に終わったこともあります。やるだけムダなので、やっても意味がなかったことを書いておきます。
早すぎる問い合わせ
まず、スピンオフ報道直後に証券会社へスピンオフに関する問い合わせをしましたが、全く意味がありませんでした。
「報道以上の情報はない」と言われても……( ´・ω・`)
方針や内容が明確に決まっていないうちから早すぎる問い合わせをしても、証券会社の対応なども決まっていないので、意味がないのかもしれません。
ニュース以外の情報集め
情報集めもあまり意味がありませんでした。
というのも、スピンオフに関する情報はあんまり多くはないので、スピンオフに関する情報のアレコレは、調べるだけムダでした。
ネットの掲示板、情報サイト、SNSなども情報が散らばっており、デマや証券会社ごとの違いなどもあり、信頼性の高い情報はそんなに多くはないように思いました。
小数点以下の数を整数にするための買い足し
「小数点以下の株が発生すると買い上げとかでめんどくさそう」と思ったので、小数点以下の株を整数にするために買い足しを行いましたが、今回は意味がありませんでした。
というのも、あとから小数点以下の株が更新されたためです。
今回は0.24株が0.241917株となり、そもそも整数にするのが大変になってしまいました。
小数点以下の数が整数にできる数(0.25とか0.5とか)であり、なおかつそれが確定しているなら買い足す意味はあるかもしれません。
でも、そうではないのならほぼ意味はありませんね。
1株未満が発生する今回のケースでは、楽天証券ではマーケットで売って売却額が自分の口座に振り込まれるかたちとなりました。
なので、小数点以下の株数を発生させないようにする、なんて努力自体が意味がないのですよね。ちゃんと処理してくれるなら、無理に買い足す必要はありませんでした。
スピンオフに関する感想
それでは、スピンオフそのものや今回のスピンオフに対する感想でも書いていきます。
新しい企業の発展が楽しみ!
まず、やっぱり新しい企業の発展が楽しみですね!ヽ(=´▽`=)ノ
ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー社はアメリカのメディア大手同士のスピンオフです。
コンテンツビジネスで息が長い会社でブランド力もあるので、これから色々な成長が期待できるでしょう( ー`дー´)キリッ
ただ配当金がありませんので、来年度以降にでも、配当金が入ってくるのを期待したいなと思っています。
AT&Tがスピンオフに伴って配当を下げてしまったのですが、来年以降に配当金を配ってくれるようなら、より大きなプラスになりますね。
めんどくさいと思ったら売ってもいいと思う
これは個人的な感覚なのですが、めんどくさかったら売ってもいいと思います。
スピンオフは会社的には発展するためにも必要なことではある、と思うのですが、ただ持っているだけの人からすれば面倒くさいところもあります。
必ず利益が出るものでもありませんし、確定申告が必要になったりと手間がかかることも多いですし。
利益が出たら確定申告が必要になったり、配当金が出たら確定申告が必要になったりするようです。
個人的には確定申告は苦痛ではありませんが、人によっては面倒でしょうから、スピンオフ前に売って利益を確定させてから買い直すでよさそう。
いろいろと気を揉んだな
それにしても、米国株のスピンオフなんて初めてだったものだから、かなりヤキモキしました。
何をすればいいのかどうすればいいのか全くわからなかったので、とりあえず調べましたが意味がなかったりと、あまり情報がなさすぎるのが残念でした。
米国株自体、言語の違いがあって日本ではあまり情報を得られない側面があります。日本語のデータだけだとだめなので、翻訳ツールを使いながら海外の株情報を読みに行くことも増えましたが、今回は情報があまり多くはありませんでした。
ということで、今後は米国株に限らず海外株のスピンオフに対しての情報が増えるといいな、と思っています。
証券会社とかもう少し頑張ってくれればありがたい。